一般社団法人国際スーパーフード学術機構は、平成30年11月16日(金)に、一般社団法人テラプロジェクトおよび近畿大学アンチエイジングセンター、一般社団法人日本杜仲研究センターとの共催で、シンポジウムを開催しました。
日程 平成30年11月16日 (金)
時間 13:00~17:00 (受付 12:00~)(交流会 17:30〜)
場所 大阪大学中之島センター
10F 佐治敬三メモリアルホール
(大阪府大阪市北区中之島4丁目3−53)
参加人数 90名
主催(共催)
一般社団法人国際スーパーフード学術機構
近畿大学アンチエイジングセンター
一般社団法人日本杜仲研究センター
一般社団法人テラプロジェクト
後援 大阪府、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所、(一財)大阪大学産業科学研究協会、(公財)大阪観光局、(公財)都市活力研究所、(一社)大阪科学技術センター、大阪商工会議所、(一社)まちラボ産学技術ユニオン、(一社)MIDORI365放送協会、智の木協会、他(順不同)
協力 豊能町、紀文食品(株)、(株)フローレンス、(株)ファイン、アサヒグループ食品(株)、他 (順不同)
【開催趣旨】
長寿高齢化社会を迎えた日本では、単なる健康志向ではなく、「アンチエイジング」を実現するための食、「スーパーフード」と呼ばれる健康食品への関心が高まっています。食とスーパーフードの現状を考え、企業・大学・自治体、そして市民などの産学官民が連携して取り組んできたモノつくり、コトつくりの成果発表から新たな連携を築く場とするべく、第2回「アンチエイジング&スーパーフードシンポジウム」を開催しました。
昨年、平成29年12月5日に開催しました、食の分野での連携の成果としての、「アンチエイジング&スーパーフードシンポジウム『健康に華麗に生きる!』」 では、多くの参加者を得て、新たな産学連携の形を提示することができました。本年はその流れを継承しつつ、一般講演のテーマを「食の伝統と最新スーパーフードの研究開発」として、伝統ある食品についての最新の研究について発表していただきました。
基調講演は、一般社団法人国際スーパーフード学術機構の山口明人理事長(大阪大学名誉教授)と、近畿大学アンチエイジングセンターの森川敏生教授にご登壇いただきました。
また、後半の企業・団体講演の部では、「温故知新: 食の伝統と最新スーパーフードの研究開発」というテーマで、「アンチエイジング」、「スーパーフード」の観点から提言・研究開発の取組み、事業戦略を紹介していただきました。
【実施概要】
本シンポジウムは、前半に学術的な基調講演を2題、後半に企業・大学の産学連携の取組みや研究開発についての紹介5題という構成で行われました。
まずは、主催者である一般社団法人国際スーパーフード学術機構機構長・一般社団法人テラプロジェクト理事長で、大阪大学名誉教授/招聘教授の小林昭雄先生から、開会の挨拶と、趣旨説明がありました。「植・食、健康」の考え方について、都市のみどり化を推進する取り組みの中で、植物の恩恵を食として健康につなげることの大切さについてお話があり、楽しみながら植物に触れて食と健康を考えることの重要性を強調されました。
基調講演のひとつめは、一般社団法人国際スーパーフード学術機構の理事長で、大阪大学名誉教授/特任教授の山口明人先生による、「薬学から見たスーパーフードの効用と健康長寿」でした。スーパーフードについて、薬学研究者からの視点で薬との違い、効能と注意点を詳しく説明していただきました。また、大阪府豊能町と連携して研究開発されておられるヤーコンについて、根が蓄える糖と健康への効果、活用方法について紹介がありました。
基調講演のもう1題は、近畿大学薬学総合研究所の教授で、アンチエイジングセンター所属の森川敏生先生から、研究開発に携われた生薬について、その取り組みと効能の紹介がありました。研究で機能性を特定し、そこから実際に特定保健用食品や機能性表示食品の認可を得る商品を開発するには、長い年月と根気強い取り組みが必要であることがわかりました。
後半は、「温故知新:食の伝統と最新スーパーフードの研究開発」というテーマで、「アンチエイジング」、「スーパーフード」の観点から提言・研究開発の取組み、事業戦略を紹介していただきました。まず、後半部の趣旨説明を含めて、一般社団法人国際スーパーフード学術機構事務局長の木村泰裕氏の講演がありました。遺伝子と食、健康との関わりについて平易に解説があり、研究開発の重要性と、産学官民連携による研究開発の取組みについて説明がありました。
次に株式会社紀文食品から、食品機能開発担当部長の駿河康平氏にお越しいただき、商品の柱の一つである「おせち」について、その伝統を継承して世界に情報発信することの重要性が語られました。健康への効果については、保存食としての特性から塩分が多いなどの制約がある中で、より健康志向で糖質やカロリーオフの製品を開発しているとのことでした。一方で、カロリーや塩分を削るだけではなく、積極的に健康に良い成分を加えていくような発想が重要性も強調されていました。
2018年4月より、国際スーパーフード学術機構はテラプロジェクトの協力を得て、スーパーフードワークショップ 「パンマルシェ」「スイーツマルシェ」を月一回開催してきました。木村氏より、開催の趣旨・経緯と概要について説明があり、また用いた素材の一つとして、紀文食品、大阪大学・テラプロジェクトで共同開発された オカラ発酵素材OTBの解説がありました。株式会社フローレンスの村嶋章宏社長は、自ら洋菓子を創作するパティシエでもあり、「パンマルシェ」において毎月、毎回のテーマに沿ったスーパーフード素材を活用した洋菓子を創作されてきました。それぞれの商品の説明と創作への想い、そしてスーパーフードの展開の可能性についてお話されました。栄養士とのコラボレーションで開発された、日本古来の素材として「ぬか・きなこ・ごま」をブレンドした「ぬきご」についても、実際の活用について解説がありました。食事ではなく、お菓子という嗜好品の中にも、健康志向への高まりを感じ、スーパーフードなどを取り入れる重要性を感じておられるとのことでした。
今回は、(一社)日本杜仲研究センターとの共催という形で、センターから2名の研究者にお越しいただき、伝統ある杜仲という生薬の持つ健康効果について、研究の最前線のデータを含めて解説がありました。日本杜仲研究センター理事で研究部門長の、香川大学農学部、片山健至教授からは、杜仲は生薬であるが杜仲の葉を用いた杜仲茶にも多くの健康成分が入っているとの話を伺いました。
また、一般社団法人日本杜仲研究センターの川崎博己副理事長からは、生活習慣病に対して杜仲がもたらす効能について、科学的根拠も交えながら解説がありました。
閉会にあたり、近畿大学アンチエイジングセンターの前センター長、村岡修先生が駆けつけてくださり、摂取量に気をつけてスーパーフードを活用する重要性への言及と共に、今後ますますこれらの分野が発展していくことへの期待を述べられ、会が締めくくられました。
参加者には、健康食品の老舗である(株)ファインより、「チアシード」、豊能町から「ヤーコン茶」、紀文食品からケーキ工房フローレンス特製の「オカラOTBドーナツ」、そしてアサヒグループ食品から「Slim up Slimカフェラテ」のプレゼントが渡されました。
また、引き続いて行われた交流会でも活発な意見交換が交わされました。
本シンポジウムは、年末に差し掛かった時期にも関わらず、90名あまりの方にご参加いただき、盛会となりました。ご講演いただきました皆様、開催に様々な形でご協力いただきました関係者の皆様、そしてご参加いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。今後、食と健康の分野における情報発信と、産官学民連携の取組みの更なる発展につなげたいと考えております。
【プログラム】
13:00 開会
主催者挨拶
小林 昭雄(一般社団法人国際スーパーフード学術機構 機構長・一般社団法人テラプロジェクト理事長・大阪大学名誉教授・招聘教授)
基調講演の部
基調講演 「薬学からみたスーパーフードの効用と健康長寿 」
山口 明人 (一般社団法人国際スーパーフード学術機構 理事長・大阪大学名誉教授/特任教授)
基調講演 「大学での基礎研究をもとにした、特定保健用食品/機能性表示食品素材の開発」
森川 敏生 (近畿大学アンチエイジングセンター ・ 薬学総合研究所 教授)
講演の部 「温故知新: 食の伝統と最新スーパーフードの研究開発」
「スーパーフードの科学と新しい食のかたち」
木村 泰裕 (大阪大学産業科学研究所 特任助教・一般社団法人国際スーパーフード学術機構 事務局長)
「日本伝統文化『おせち』と健康食」
駿河 康平 (株式会社紀文食品 国際事業室事業室 企画部 食品機能開発担当)
「健康食品素材を活用した 新たな洋菓子の開発」
村嶋 章宏 (株式会社フローレンス 代表取締役)
「健康長寿のための杜仲と熱帯森林バイオマスの開発」
片山 健至 (香川大学農学部 教授・一般社団法人日本杜仲研究センター 理事・研究部門長 )
「生活習慣病と杜仲葉の改善力 – スーパーフードの予感-」
川崎 博己 (一般社団法人日本杜仲研究センター 副理事長 )
閉会ご挨拶
村岡 修 (近畿大学 名誉教授・客員教授/前アンチエイジングセンター長)
17:00 開会
*司会進行 木村 泰裕 (大阪大学産業科学研究所 特任助教・一般社団法人国際スーパーフード学術機構 事務局長)
17:30 交流会 (於 大阪大学中之島センター 9F 交流サロン)